塩江温泉観光協会さん主催・一般社団法人トピカさん(https://topica.or.jp/)が
運営を務めるホタルイベントに参加しました。
ガイド養成について、arc(あるく)としてサポートさせていただきました。
塩江は、香川県高松市南部の徳島県との県境に位置する中山間地域。
阿讃山地、和泉層群の北端部に位置し、その特色を利用した農業と、
讃岐平野部への薪炭の供給、産出する冷泉水を用いた温泉観光業が江戸時代から盛んな地域。
人と自然のつながりを再認識するきっかけを作りたいarcとしても
大好きなフィールドのひとつです。
ホタルの案内人は、arc(あるく)コンシェルジュの松本慶一さん(https://arc.tours/concierge/)
ホタルツアーでの学びは、
記事で書ききれないぐらいのボリュームがありましたが、
ピックアップして3つ紹介します。
(1)地球誕生からホタル誕生までのストーリー
松本さんの「ムシ愛」によるキックオフトークは、
地球誕生の歴史から蛍へつなげる壮大な説明
※過去の歴史系の話は、諸説ありなので、正しい情報があれば修正します
46億年前地球誕生から、約4〜5億年前に陸上に初めて植物が出てきて、動物の祖先もこの頃に誕生し、
2億9000万年ぐらいまえに甲虫(かぶとむし、かみきりむし等)が誕生しました。
蛍は、だいたい1億年前以降に出現したことが研究でわかってきたらしく、
まさにそこは、恐竜の時代!
ティラノサウルスは夜行性なので、
獣を狩りながら、ホタルに癒される夜があったのかもしれません。
(2)ホタルが生育する環境は奇跡
夜行性でキレイに光る蛍は、日本国内で4種類程度、
その内の一つがここ塩江で見られます。
「今から見に行くのは最高の蛍なんだ!」と、
松本さんが参加者のテンションを上げます。
完全変態昆虫であるホタルは、
卵→幼虫→蛹(水中)→成虫
と、姿形を変えて生きていきます。
ホタルは、何を食べているのか?
それは、カワニナです。
これしか食べません。
カワニナが生育できる環境は、
魚がいて、魚のフンを養分に育つ藻類がある場所。
ホタルが蛹から成虫になる時に、川から砂地に移動するので、
護岸工事されていない自然の川が必要になります。
また、成熟するための隠れ家、「河畔林」があることも条件。
さらに、オスとメスが出会うには、「暗闇」が必要。
なぜなら、ホタルの光は、「出会い」のための光通信だからという理由。
まさにこのような奇跡的な環境が整っているからこそ、
キレイなホタルが見えるということです。
陸域と水域、森林と草原など、異なる環境が連続的に推移して接している場所を
「エコトーン」といい、多様な生物の生息場所となっているため重要視されています。
(3)ホタルのロマン
ホタルの成虫の寿命は、生理的寿命は14日。
カエルに食われる、雨に打たれるなどで死滅するので、平均するとメスで6日、オスで4日となります。
だから、一度見た蛍を1週間後に見ることはできません。
最初で最後の出会いになります。
その美しい光を放つ期間も限られています。
この短い一生が、私たちに「はかなさ」を感じさせます。
江戸時代の先祖も、同じようにホタルを見て楽しんだ歴史が残っています。
◾️松尾芭蕉の俳句
「ほたる見や 船頭酔うて おぼつかな」
滋賀県の稲田の唐橋付近で、蛍見の船が出ていました。
船頭が、船に酔っているのか酒に酔っているのかわかりませんが、
ほたるが飛びかう風景と、蛍見の船が賑やかにゆれている様子が目にうかびます。
他にも、蛍の光り方は、西日本と東日本のフォッサマグナ付近で、
光り方が異なることなど、ネタが盛りだくさんですが、
詳しくは、ぜひ塩江でのホタルツアーにご参加ください。
現地で五感で感じ取ることが大切です。
ガイド終盤、松本さんの言葉が心に残りました。
人間と自然のつながりを知ること。
この言葉を最後にレポートを終わります。
◾️松本さんの言葉
このキレイな蛍を見て何を思うでしょうか?
ずっとこの景観を見続けたいし、孫やひ孫、後世にこの美しさを残したい。
そう考えた時に大切なのが、私たちは文明文化の中で生きていることを再認識すること。
文明文化は何によって守られているのか?
それは、自然です。
自然がないと私たちは生きていけないのは当たり前。
家にある椅子やテーブルは植物、
教科書の紙も植物、
皆さんが来ている服も綿花やポリエステル石油製品。
石油は、生物の死骸の汁ですし、
石炭は、植物が固まったブロック
建物に欠かせない鉄の原料となる鉄鉱石も生物が関わって作られたもの
ほぼ生物のおかげて生きています。
人間も生物の一部で、命をいただきながら生きている。
蛍をきっかけに、環境のこと、生き物のをことを勉強して知って、
ちょっとでもマシなことができないかってことを考えていくきっかけとするのが、観察会の目的なのです
photo by : ゆうさかな
【参考情報】
・鉄鉱石は、地球の火山活動などで 作られたのではないかと思っている人も多いと思いますが、実は作られる過程で生物が重要な役割を果たしています。 その生き物とは、どういう生き物でしょうか? 現在、製鉄で使われている鉄鉱石は、シアノバクテリアという、植物プランクトンが作ったことが、分かってきました。